読んだもの

清瀬異聞―土地とごみ袋とムラ社会

清瀬異聞―土地とごみ袋とムラ社会

東京都清瀬市はゴミ袋が有料で(1枚10円くらい)それも最近燃えるゴミと燃えないゴミの2種類だったのが知らない間にプラスチックが加わって3種類になっていて、ゴミの捨て方がわけわからず、webで検索したら一緒にでてきた。

この作者が立候補して落選した市長選挙以降に引っ越してきたし、ゴミ袋有料化もすでに行われてしまってしばらく経過した後で、全く地方自治とかとは無縁なわけなのだが、普段なんとなくゴミ袋とか、いびつな駅前の様子とかから怪しい雰囲気は感じており、期待して読んだが期待を裏切らなかった。客観的になるようにつとめてるようで描写は淡白なのだが、問題を認識し、改革をしようとするが、敗退する様子が皮肉っぽい俯瞰視点で描かれているのでさすがに気が滅入る。結果が結果だから仕方ないけどね。

根本的な原因は経済規模が小さいもんだから相対的に官の占めるところが大きくなってしまっている点。土地柄共産党が強いくせに与党と結託してる。根強いよそ者差別。の3点にあると読むことができる。実際どうなのかは知らん。いずれにしてもゴミ行政は自治体ごと千差万別で、それぞれの特色がにじみでるところのようだ。地方行政を目利きする取っ掛かりにするのに良さそう。

選挙や市議会での喧騒の合間にとってつけたように歴史風土の紹介が差し挟まれていて、なごむ。ここが土壌に恵まれない台地の上で、水が留まらず、風が強くて、ニンジンくらいしか作れないから、ニンジンが特産品なのだとか。毎年この前のような春一番が吹くと畑の砂がとばされて酷いことになるのだが、それでも畑のふちに防風用に背の低い木を植えて、ニンジンが栽培されていたり、がんばってキャベツとか白菜が作られてたりするのを見るとちょっと愛おしく見えてくる。よそ者なのにね。

メモ:ここのゴミ袋の売上の一割が小売店の取り分になるらしい