4つのタイプ

http://www.mud.co.uk/richard/hcds.htm
先日もリンクしたリチャード・バートル氏の論文。先日は論文本来の論点とは全く関係ない議論にもっていってしまったけど、この論文はMMORPGのデザインをする人にとってはかなり基本的な読み物の一つのようなので、後でリンクするためにも普通に解説しておくことにしよう。
まず氏は仮想世界におけるプレイヤーが求めるものとして典型的なものを4つ挙げ、それぞれを集団に見立てて対応する呼び名を定めている。ここで誤解しないでほしいのは、これはよくある心理テストのようなものとは違い、一人の人間が必ずどこか一つのタイプに当てはまるというものではなく、複数のタイプが該当したり、時間によってそれも変化したりすることがあるということだ。

● 1.ゲームの枠組みの中で強くなりたい人達(Achievers)
モンスターを叩いてレベルを上げ、さらに強いモンスターを叩けるようになりたい。ゲームの定めたレールの上を黙々と進む人達。
よくあるセリフ
「次のレベルまであと4035」「いそがしいんだ」「助けてあげてもいいけど、何がもらえる?」

● 2.ゲームの中を探索する人達・知識や法則を発見しまとめる人達(Explorers)
マップをおこしたり、モンスターの生息地域について調べたり、アイテム生成のための材料をまとめたり、戦闘やスキルについて詳しく調べたり。攻略ページを運営するまではいかなくても、そういったことを知ったり知っていたりすることから得る楽しみを求める人達。
「うーん」「それを試したことはなかったな。どうなった?」「隠し部屋への行き方を知らないの?」

● 3.他人と交流する人達(Socialisers)
単に会話を楽しんだり友達を増やす人達だけでなく、ロールプレイやある行動がどのような反応を周りから引き出すかを見て楽しむ人達も。
「やぁ!」「ちょっとリアルでいろいろあってさぁ」「ほんとに!?うぁ、そいつはひどい、やばい、やばすぎる」

● 4.他人と競争し追い越そうとする人達(Killers)
他人よりも優位な位置に自分を置こうとする人達。一般にはPKやPvPに楽しみを見出す人達だが、剣や魔法を直接相手に使わずに他人の上に立つこともできる。そういった手段を使う人達も含まれる。
「おつ」「雑魚w」「氏ね」「シネシネ氏ね」(彼等の口数はすくない)

また、仮想世界での興味の対象として、2つの軸、「行為、影響の方向(一方的か相互的か)」「人間と環境」を挙げ、その2軸の組み合わせに先の4つのタイプをあてはめた。

                             一方的影響
                  Killers        |          Achievers
                                 |
                                 |
             人間 ---------------+--------------- 環境
                                 |
                                 |
                  Socialisers    |          Explorers
                              相互影響

あなたはどこら辺に当てはまりますか?
こうして分けただけでも見えてくるものが多いのではないかと思うのだがどうだろう。どの楽しみも一度くらいは感じたことがあるのではないだろうか。昔、掲示板でゲームの世界をどうすべきかで意見が合わず言い争っていた趣味を異にする人達も、結局は自分も感じることのできる楽しみの一部を少し大きめに取り上げ、大事にしようとしていただけなのだ。